T's room 酒造会社さんによる消毒用エタノールの提供 明石の田村眼科

医療法人瞳潤会 田村眼科

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酒造会社さんによる消毒用エタノールの提供

 新型コロナウイルス感染症の拡大によって、医療機関にとって必須である消毒用エタノールの供給が不足しています。

 

 当初、医療機関には優先供給されるとの事だったのですが、申込から受領までの間で様々な混乱が起きており、予定通りには進んでいないのが現状です。そんな中、厚生労働省より「医療機関等において、やむを得ない場合に限り、高濃度エタノール製品を手指消毒用エタノールの代替品として用いることは差し支えない」との通達がありました。
https://www.mhlw.go.jp/content/10800000/000624086.pdf (厚労省 事務連絡)

 

 明石でも、市内の酒税法に規定される酒類製造業者である「明石酒類醸造株式会社」と「江井ヶ嶋酒造株式会社」が、期限付きで消毒用エタノールに代用できる酒類商品を生産されています。先日、当院にも特別販売して頂ける事になり、明石酒類醸造株式会社さんより「明石鯛スピリッツ70%」、江井ヶ嶋酒造株式会社さんより「EIGASHIMA77スピリッツ」を購入させて頂きました。※一般販売はされていません

 

「EIGASHIMA77スピリッツ」と「明石鯛スピリッツ70%」(サンプル)

 

 

 今回は、明石酒類醸造株式会社の米澤仁雄代表取締役から色々とお話を伺う機会がありましたので、その内容をご紹介したいと思います。

 

2号線沿いの明石酒類醸造株式会社

 

受取場所 酒笑(しゅまいる)本館。換気のためドアや窓は開放状態

 

 

 酒造メーカーさんには元々高度な蒸留技術があるためか、消毒用として使用するのに適切な高濃度のエタノールを製造する事自体は「難しくない」とのご回答でした。

 

 ただし、今回の特別販売に関しては「利益度外視で、今私たちに出来る社会貢献と思ってやっています」と仰っていました。同社は「海外への輸出割合が多い」事が特徴で、今年はイギリスから新しい機械の輸入や技師さんの来日を予定されていたとのお話もあり、このようなコロナ禍でなければより本業に注力し発展的に活動されていたのかも知れません。予期せぬ事態においても、また違った形で社会貢献を継続される企業姿勢、熱意には本当に頭が下がる思いです。

 

米澤代表取締役。自らケースを運んで下さいました

 

 次に、利益度外視とは言えかなり安価に提供して頂ける理由については、主に酒類にかかる税金の問題と、所轄官庁との絡み等を挙げられていました。調べてみたところ、同じアルコールでも関連法や管轄により全く異なって規定されている事を知りました。

名称アルコール関係法令所轄省庁
工業用アルコールアルコール事業法経済産業省
酒類酒税法財務省

日本薬局方アルコール【医薬品】

薬事法(日本薬局方)厚生労働省
アルコール類消防法消防庁

(平成26年3月 経済産業省製造産業局アルコール室)

 

 今月初めには、厚生労働省が取扱いを定めている「高濃度エタノール製品」に該当する酒類について、一定の用件を満たしたものを酒税法上の「不可飲処置」が施されたものとして承認するという方法を取れるようになり、「酒税がかからなくなった」そうです。この事からも、官民一体となって消毒用エタノールの確保と廉価での供給に向けて工夫・取り組みがなされている事がわかります。

 

 また、上記厚労省事務連絡の改定により60vol%台のエタノール消毒でも有効性が報告された事を受け、同社でも「高濃度アルコール65%」を製造・販売開始されています。これには副次的効果もあるそうで、「配送・供給がより行いやすくなる」とお聞きしました。配送業者さんも調べてみましたが、至る所に規制・制限がある事を痛感しました。色々と大変です。

 https://www.post.japanpost.jp/question/354.html (一例 郵便局HPより)

 

 医療の現場では、日々厚労省や保健所、医師会、眼科医会、医療機器メーカーや関連業者、各医療機関等と連係しながら活動を行っていますが、まさか酒造業の方と仕事でお会いする事があるとは考えていませんでした。

 「全ての人に酒と笑いと幸せを」、「高度で適切な眼科医療を提供し地域社会に貢献する」、とそれぞれに異なる理念を掲げる異業種ではあるのですが、何をどのように行っているかが違っても、利他的な目標・理念を掲げた活動において共通している事を実感しています。購入した消毒用エタノールは、大切に使用させて頂こうと思います。

 

 社会も大きく変容していますが、ポストコロナ時代も本質を見失わず医療活動を継続していきます。

 

(記:事務長 寺下)